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書評「ホワイト企業」(高橋俊介著)

 企業についていろいろ知りたくなったので、その一環として読んでみました。おそらく本を見た大多数の人は「ホワイト企業」というタイトルに目が行ってしまってサブタイトルを見失ってしまったのかと思います。ブックオフでは100円でしたので…

 

タイトルに書かれている「ホワイト企業」ですが、これは一般的な定義とは少し違う定義で作者は使っています。おそらく一般的には「午後五時くらいにまでは帰宅、完全週休二日制、給料もなかなかいい…」という企業のことを指すものと思われます。

しかし作者の使うホワイト企業の定義は少し違っていて、従業員が独り立ちできるような教育を施している企業という意味で使っています。「働きやすさも働きがいも両方ないのが、人材使い捨てのブラック企業でしょう」と書いていることからわかると思います。そしてさらに、日本のサービス業を展開する中小企業がこのブラック企業に相当するとしていかにホワイト企業へと変身するか、これを論じています。そのために、筆者はオリジナルのチェック表を盛り込んでいます。

 

ただし、序盤の文章が非常にわかりづらいです…そして具体例もあるのですが、「きれいごと」のような論調にも見えることでまたうさん臭く感じてしまいます。この本では中小企業を対象にして書かれているため具体例もサービス業を展開する中小企業から持って来るように配慮しているのですが、どうもうさん臭く見えてしまいます。

「(東日本大震災のあと打撃を受けた企業と比較して)震災直後から電話が逆に増えました。「不安だから電話したわ」といったお客さんからです。」とありますが、「この会社が不安だから電話した」のか「お客さんが不安に感じたから電話した」のかイマイチよくわかりません。

「将来のキャリアパスが描きにくくても、感謝され、やりがいを感じるからこそ働く若者がいる。それが福祉、介護の仕事の強みでしょう」これについては言葉も出ません。これが真実なら介護企業で人手不足ということは起こりえないでしょう。

 

結局、サービス中小企業でいくら人材育成プログラムを充実させたところで、業種の魅力度が無ければ意味がないのです。ハーズバーグの理論が有名ですが、まずは給料などの衛生要因を整備することが肝要です。まずは中小サービス業を若者にとって魅力的な企業にしないことには教育プログラムの整備も無意味でしょう。

衛生要因を整備した後にはじめて動機づけ要因の議論が成り立つのに、作者はいきなり動機づけ要因の整備についての話題から始めてしまっています。その意味では空虚な内容といえるかもしれません。東京に本社を構えている大企業と中小企業を並べても中小企業を選ぶような、そんな魅力を中小企業に与える内容を議論すべきです。教育プログアムの整備はそのあとです。

ホワイト企業 サービス業化する日本の人材育成戦略 (PHP新書)