エクセルのブログ

ゲーム(shadowverse・civilization6・アズールレーン)のプレイログ、あとはたまに読書

書評「地方銀行消滅(津田倫男著)」・「捨てられる銀行(橋本卓典著)」・「フィンテック(柏木亮二)」・「銀行問題の核心(江上剛・郷原信郎)」

まとめて書評を書いたのは、これらの本の内容が関連しあっているからです。

現在、地域経済において地銀や第二地銀の在り方が問題となっています。融資すべきではあるが、なかなか貸し出さない。その結果、地方の中小企業へ資金が行き渡らずに倒産してしまいます。

このような現状について、金融庁はどのように対応しようとしているのかを述べたのが「捨てられる銀行」、元銀行員としてどうすべきかと述べたのが「地方銀行消滅」です。「銀行問題の核心」についてはこの問題がなぜ発生したのかということを銀行の文化という側面から語っており、「フィンテック」ではこのような問題を新技術の導入という方法で解決するヒントを示しています。

しかし面白いのはやはり「地方銀行消滅」と「捨てられる銀行」の読み比べだと思います。

「捨てられる銀行」では金融庁長官の森氏にスポットを当てて、これからの経済では地域とのつながりを深くすべきだということが述べてあります。銀行本来の業務である融資に立ち返り、流すべき場所へ適当な金額を流すことに専念することが重要視されています。

その一方で「地方銀行消滅」では、地方銀行の取るべき方法として統合があげられています。銀行同士の統廃合を通じて銀行の数が減り、その結果一行当たりの経営力が強化されていくべきだという主張をしています。なお、「捨てられる銀行」ではこのような銀行統合の流れに対し、あくまでも地域経済発展のための手段として扱われるべきであり、再編そのものを目的とするべきではないといったことが主張されています。

「地域基盤の強化→経済活性化→銀行の存続」というプロセスと「再編による銀行の維持→融資の容易性→地域経済活性化」というプロセスにおいて、どちらがよいかということは一概には言えません。個人の価値観の問題だと思います。

そしてこのような現状を打破するかもしれない新しい希望がフィンテックであり、それは「フィンテック」で詳しく述べられています。「地方銀行消滅」では、フィンテックについて「既存の金融機関でもできる作業を簡略化しているだけ、怠慢ともいえる」と批判的に述べています。しかし、これは銀行が担っていた作業が細分化され、私たちがより自分に適したサービスを選びやすくなったと言い換えることもできると言えます。

フィンテックにより銀行が担っていた雑務を減少し、本来の業務であった融資に集中すべき、そうでないと地銀は統廃合を繰り返し、自行の名前が消えてしまう、とまとめられるのではないでしょうか。

 

地方銀行消滅 (朝日新書)

地方銀行消滅 (朝日新書)

 

 

 

捨てられる銀行 (講談社現代新書)

捨てられる銀行 (講談社現代新書)

 

 

 

フィンテック (日経文庫)

フィンテック (日経文庫)

 

 

 

銀行問題の核心 (講談社現代新書)