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書評「タックス・ヘイブンー逃げていく税金」(志賀櫻著)

もともと積んでいたのですが、フォロワーの方から「面白いよ」と勧められたこともあって読みました。ゼミで専攻しているテーマと関わってくる話題だったので早いうちに読んでおきたかったですが…

 

タイトル通りタックス・ヘイブンについて書かれた本です。タックス・ヘイブンが何かということを知らない人はあまりいないかと思われます。つい最近ではパナマ文書が問題になりましたね。イメージとしては脱税に近いです。(というか筆者はタックス・ヘイブンを利用した租税回避と脱税は同じグループに入るとしています。しかしその線引きが非常に難しいとのことです。)

 

例えば、日本とケイマン諸島では税率が大きく異なります。ケイマン諸島の方がとても低いのです。したがって、日本で100万円手に入れるのとケイマン諸島で100万円手に入れるのでは手元に残る金額が異なってきます。そこで手に入れた100万円をばれないように日本からケイマン諸島に移せば儲かるじゃん!というのがタックス・ヘイブンです。

 

しかしこのような脱税で動くお金というのは億や兆の単位であって、自分たちの生活とは関係ないように思われます。なので人々も関心を示しません。

しかしながら、筆者はこのタックス・ヘイブンが私たちの日常にも大きな影響を与えるものとして主張しています。それも私たちの負担が増えるとも主張しているのです。

「所得や利益を海外にあるタックス・ヘイブンに逃がして、本来なら国に納めるべき税金を払わないで済ませている高額所得者や大企業は多数存在する。そのツケを負わされているのが、中所得・低所得の市民である。…(中略)…ところが、タックス・ヘイブンを使った脱税行為、租税回避行為はその義務を無視、あるいは放棄し、本来ならば国庫に納められるべき税金を海外のどこかに逃がしてしまう。」

 

タックス・ヘイブンが持つ悪影響のうち一つを上げましたが、本書では他二種類の悪影響についても述べられています。テロとの関係性、経済ショックとの関係性の二つです。

 

かなり複雑な内容ではあるのですが、国際税制度の最先端で実際に活動していらっしゃったこと、複雑な仕組みについても丁寧に解説されていることで読み飽きることがありませんでした。

おススメされた通りの良書だと思います。

タックス・ヘイブン――逃げていく税金 (岩波新書)

タックス・ヘイブン――逃げていく税金 (岩波新書)