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書評「幸福な王子」(オスカー・ワイルド著)

 オスカー・ワイルドの名前は有名ですが、書いた本を読んだことがなかったため読んでみました。

本作は九つの短編からなる作品で、それぞれが小説というよりは童話の形式をとっています。そのため人間以外にもウサギやフクロウといった動物だけでなく、ロケットなどの物もおしゃべりをします。また、やりすぎかとも思われるくらいのコテコテの比喩も、童話らしい雰囲気を作り出しています。どの話もメルヘンな雰囲気を持っている、というのが特徴です。

 

また、話自体も信賞必罰だったり勧善懲悪といった童話らしいメッセージを持っています。ただ、これらの童話が面白いのは、完全な信賞必罰、完全な勧善懲悪の形になっていないことです。

例えば表題作である「幸福な王子」では、王子は自分を装飾する宝石や金銀を分け与えますが、最後には鉛だけになってしまい、鉛の心臓を残して捨てられてしまいます。この心臓はのちに「最も貴いもの」として神に扱われますが、王子そのものはもう死んで(?)しまっています。自分が貴いものであると神から扱われることを、王子は知らないのです。

 

このように、最後は神からの寵愛といった形で報われますが、資金的に裕福になったのか、肉体的に報われたのかにはあまり重要視されていないように感じられます。むしろ、内面がどうであったかということが重要で、現世よりもその魂を重視しています。

肉体よりも人間の内面に焦点を当てた信賞必罰という点では、少し対象年齢が高めの童話といえるのではないでしょうか。対象年齢が高い分、子供だけでなく私たちにも「精神は高潔であれ」というメッセージを発しているように感じられます。

幸福な王子―ワイルド童話全集 (新潮文庫)

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