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京都の大学生です もうすぐ社会人です

書評「たったひとつの冴えたやり方」(ジェイムズ・ティプトリー・ジュニア著 浅倉久志訳)

 タイトルはとても有名な本です。本自体は同じ背景を持った三つの短編から成っています。三つの中で最初に掲載されているのが「たったひとつの冴えたやりかた」であり、好奇心旺盛な少女とエイリアンの話、次が「グッドナイト、スイートハーツ」、最後が「衝突」です。

 

三つの物語に共通しているのですが、いわゆる「SF小説」ぽくない、という印象でした。自分がSF小説を読みなれていないということも大きいのですが、印象としては「架空の世界を創造し、その中で物語を動かすことで現代との皮肉をする」または「現代世界において突飛な出来事が起こる」という二種類に分かれるという考えを持っていました。

 

しかしながらこの三つの短編はSFというよりは現代の一般小説といった毛並みでした。つまり、宇宙という舞台のもとで起こっているのですが、舞台自体にはそこまで重点が置かれていません。あくまでも作者の見せたいのはストーリーであり、宇宙という舞台はそこまで作者は重要視してないように思えます。三つの短編とも、作者の力点はストーリーの展開、そしてその演出に置かれています。したがって、いわゆる「SF小説」を期待した読者にとっては少し肩透かしだったと思います。しかし、SF小説のライト層や入門編としては適切な本でしょう。そのため「おすすめのSF小説ある?」と日常会話で聞かれればまずおすすめすべき小説だと思います。

 

いわゆる「文学的作品」よりもライトノベルに近い性格だからこそ、万人向けの小説であると言えます。

舞台設定やストーリーを通した問いではなく、登場人物の感情に焦点を当てた物語であるため時間や場所を問わず愛される作品であると言えます。