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書評「話し方入門」(D・カーネギー著、市野安雄訳)

 テストが近づいてくると気晴らしに本を読む時間が増えてしまいます。しかし勉強の合間に読む本はいい気晴らしになりますし、ゲームやネットをするよりも気分転換に役に立ちます。

 

人前で話すとき、もっといえばスピーチをするときに困ったことはないでしょうか?本書はその悩みを解決してくれます。訳文もとても平易で読みやすく、読み始めてから読み終わるまで躓くことは一度もありませんでした。テスト勉強もこれくらい順調に進めばいいのですが…

 

本書は「人前でのスピーチの仕方」に焦点を当てた古典です。12章から構成されていますが、「どうすればよいスピーチができるか」という目的からそれた部分は一つもありません。最初から最後まで作者の目標は一つに固定されて動きません。さすが名著と呼ばれるものは違うな、と感じました。文章が平易であるだけでなく、章末にはまとめまでついているので後で読み返すときやメモを取る時にとても便利です。大きさも文庫版なのでコートのポケットに簡単に入ってしまいます。

 

本当にためになり、古典の古臭さを一切感じさせない内容でした。ところどころ当時の著名人の名前が引用されるのですが、それすら現代人のスピーチと行っても通用するように感じます。そして、昔の人も今の人もスピーチに対して持つ苦手意識や抵抗感は変わらないのだなぁという実感もわきました。

 

ただ、それまでの内容と比べると最終章は少しストイックに走りすぎているかな、という感想です。それまでの11章に書いてあることは明日から簡単に実行できそうなことです。「話す内容について興味を持ち、情熱を持つ」「堅苦しい言葉は使わない。冒頭のつかみには最近起きた出来事を引用すると話し手の興味を引く」といったものから「失敗することを考えない」「粘り強く練習すれば、いつか必ず努力は実を結ぶ」といったものまでありますが、どれも腹落ちする内容ですし、「うんうんなるほど」と相槌を打ちたくなります。

ただし12章での語彙力を増強するという課題に対して「辞書を持ち歩いて読みふける」「辞書の言葉を覚える」というのはストイックすぎるような気がします…個人的には語彙力にあまり重点を置くのはどうかと思いました。アメリカならいざ知らず、日本語ではあまり難しい単語を使うと聴衆に通じないことが多々ありますので…

しかしそのような点を含みつつも、現代にも通じる、というか見習うべきスピーチのポイントと的確に、かつ平易に書き記した名著であると思います。

 

カーネギー話し方入門 文庫版

カーネギー話し方入門 文庫版