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書評「人口学への招待」(河野稠果著)

 ブログを更新できていなかったのはこの本を読むのに時間がかかっていたからです。とりあえず一読したのですが、まだ完全に内容を把握できたというわけではありません。おそらくころあいを見計らって二週目に突入すると思います。その時は追記という形で記すと思います。

 

購入したのは一年くらい前の話です。ゼミで東京一極集中について議論していたのですが、その中で人口の集中について議論する機会がありました。(もともと自分は増田寛也氏の「地方消滅」に触発されてテーマ選択をしたので、これはある意味当然の帰結だと思います)その時に人口集中の理解を深めるために、と思って買ったものです。結局だいぶ時間がたってしまいました。論文には残念ながら人口一極集中の抜本的な解決策は載せられなかったように思います。

 

私の主観ですが、中公新書は本格的な内容の本が多いように思います。そしてこの本もその例にもれず、かなり本格的です。そのうえ分量も一般的な新書よりも多く、かなり苦戦しました。

 

この本はその名の通り、人口学についての説明を軸にした本です。人口がどうやれば増えるのか、どのような要因によって出生率は減少するのかということについては様々な議論がなされてきました。これを人口学が産声を上げた19世紀後半から現在まで、漏れをできるだけ減らして細かく書いてあります。当然、分量も膨大なものになってきます。

 

少子化、人口転換論、結婚といった様々な観点から、人口学ではどのような分析をしているかを書いてあります。最近話題になっているエマニュエル・トッドはフランスの人口学者であり、彼の提唱した「ヨーロッパにおける合計特殊出生率のライン」についてももちろん触れてあります。読めばわかりますが、とても画期的で視覚に訴えるものであるため、わかりやすいです。

 

個人的には出生率の減少要因について、「子供を育てることに関しては、子供から得られる効用と育児にかかる費用(機会費用も含む)が釣り合ってないから発生する」といった、合理的なアプローチをとったベッカーなど、五つのアプローチが紹介されているのが興味深かったです。

 

これだけ書いてまだほんの一部しか紹介できていない、ということを考えても、本書の情報量はすさまじいと言えるでしょう。その一方で読み応えがあるという意味ではおすすめです。

 

人口学への招待―少子・高齢化はどこまで解明されたか (中公新書)

人口学への招待―少子・高齢化はどこまで解明されたか (中公新書)