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書評「戦略がすべて」(瀧本哲史著)

 おおざっぱにまとめると、「いろいろ残念な本」という感想です。

 

本書の構成は24のケーススタディから成っています。これを通して現代に必要な「戦略的思考」を鍛えていくというものです。この「戦略的思考」とは労働者コモディティ化する現在においてどのように勝ち抜いていくかを考えるのに必要なもので、作者の主張は「僕は君たちに武器を配りたい」などと一貫しています。

 

しかし残念というのは、タイトルや帯など、ミスリードを誘うような仕掛けが多いのです。たとえばあらすじが書いてあるのですが、「ムダな努力を重ねる前に、「戦略」を手に入れて世界を支配する側に立て。」「我々が取るべき選択を示唆した現代社会の「勝者の書」。」とどうもずれてしまっています。この本は思考訓練のための本であって、「こうするべきだ」というメッセージを持った本ではないと思いますが…書いてある内容は素晴らしいので、これは作者というよりも編集側の問題でしょう。

 

終章で「本書「戦略がすべて」はその手助けをする本である。(「その」とは、一つ前の段落にある「身の回りに起きている出来事や日々目にするニュースに対して、戦略的に「勝つ」方法を考える習慣を身に着ける」ことだと思われます)」と語っていますが、実践的戦略思考の手助けを目的とする本であれば問いかけ形式で発表してほしかったです。また、この前提を本の最初で紹介していないので、筆者が想定した読み方を読者が実現できない可能性が高いです。

 

巻末には「日経プレミアPLUS」と「新潮45」で連載されたコラムをまとめたもの、と注釈がうってあります。なので、ある一つのメッセージを伝える本、というよりは24のコラムをつぎはぎしたパッチワークというのが近いです。

「瀧本哲史という人が今話題だから、その人になんか適当に本を書かせたら本がバカ売れするだろう」という編集部の考えが見えてしまうようです。「若年層に資本主義社会を生き残る武器を渡す」というメッセージのもとに書かれた星海社新書から出版されている著作と比べると格段に見劣りします。

新潮のこの本ではなく、星海社、およびその親会社である講談社から出版されている作者の本を読むべきだと思います。

 

戦略がすべて (新潮新書)

戦略がすべて (新潮新書)