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書評「星を継ぐもの」J・P・ホーガン

 

星を継ぐもの (創元SF文庫)

星を継ぐもの (創元SF文庫)

 

 1980年代のSFの傑作であり代表作。本格SFの名に恥じない内容だった。

例えば主人公の設定は天才物理学者であるという設定であるが、そこにはいくらもうさん臭さがない。

星を継ぐもののハント博士もルナリアンやガニメアンについての考察で推理?のようなものを披露するのだが、そこにはいくらもうさんくささがない。非常に理論だっていて学者然としている。推理小説の主人公も天才的な頭脳を持ち、それを用いて推理を行うのだが、推理小説では主人公と犯人という天才がいるだけでほかの登場人物はみな凡人である。そのため主人公・犯人という天才を「見上げる」視点になってしまう。

一方でこの小説ではハント博士はもちろん頭脳明晰であるが、ほかの登場人物もみな頭脳明晰である。世界各国を代表する学者なのだから当然ではあるが。すると読者の視点は登場人物と同じ高さになり、頭脳明晰さにはフィクションを感じさせるようなうさん臭さが発生しない。そのあたりをよく描いていると思う。