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書評「半市場経済」(内山節)

 

市場経済というのは筆者の造語です。市場経済は企業が自分の利益を最大化するための場所ですが、半市場経済というのは市場が利益をあげつつも、社会性ミッション(格差を是正したい、環境を改善したい)といった目的も達成する企業が活動する経済のことです。社会性ミッションを企業が持つことで、そこで働く人々もやりがいを持ち、結果として働く人の尊厳を守ることになるというものです。

この本は内山節が序章・一章・おわりにを書き、残りの二章・三章・四章はそれぞれほかの著者が担当しています。二章の具体例列挙はとてもわかりやすかったです。三章は書いていることはわかるのですが、ところどころ「?」となる点もありました。おそらく田舎のような時間に縛られない生活を、ということを主張しているのでしょうがそれを「時間を所有するのではなく支配される生活を」というなど少し言葉遣いや論理関係に不満がありました。最後の四章にいたっては何が言いたいのかわかりにくい。アダムスミスの話をしていたらいきなりアリストテレスに飛んだり、「で、何が言いたいの?」という内容です。「過去の事例を通してあなたは何が言いたいの?」とひたすら問いたくなるような文章でした。いわゆる悪文です。

市場経済、という概念自体はありそうでなかったものですので読む価値はあると思われます。社会関係資本に見られるように最近は社会性のある事業が求められているのかもしれません。